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メディア研究開発センター

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朝日新聞社の研究開発チーム(メディア研究開発センター)のテックブログです
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記事一覧

EMNLP 2024 に参加してきた話

こんにちは。メディア研究開発センター (M研) の川畑です。 昨年11月にアメリカのマイアミにて開催された EMNLP 2024 に論文が本会議採択され現地参加してきました。今回の記事では採択論文と個人的に面白かった論文の内容紹介を行います。 EMNLP とは自然言語処理 (NLP) 分野のトップカンファレンスの一つです。採択率は本会議が2024年で20.8%、findings まで含めると37.7%だったようです。Findings というのは本会議には一歩届かなかったけれ

生成AIは間違い探しをどれだけ解けるのか?ChatGPT o1 VS Gemini 2.0 Flash

メディア研究開発センターの山本です。 「生成AIは人間を超えた!」と言う声をよく聞くようになりました。 OpenAIはChatGPT o1、GoogleはGemini2.0 Flashと2024年末に優れたモデルを発表し、さらにパワーアップしています。 しかし、私はまだ生成AIが人間を超えられたとは思っていません。私が考える生成AIが人類を超えたと言えるタイミングは「サイゼリヤの間違い探しが解ける」です(異論認めます)。 そういえば、間違い探しを生成AIに解かせるというタス

エンジニアの男性育休ログ1年分!会社報告から育休取得、職場復帰まで

メディア研究開発センターの山本剛史です。 私は2023年10月に第一子が誕生し、1年間の男性育休を取得していました。おかげさまで1年間育児に専念できて、娘の成長をそばで感じることができました。 エンジニアのキャリアを考える中で、育休について悩まれる方も多いです。 そこで、いつ会社に報告して育休取得したか、引き継ぎで苦労したポイント、周りからの反応、育休復帰までの流れを紹介したいと思います。 ※本記事はQiitaアドベントカレンダーに掲載した記事の続編として、育休復帰までの流

マルチモーダルLLMでユーザビリティテストしてみた。

こんにちは、メディア研究開発センターの植木です。本記事ではマルチモーダルLLMであるGPT-4oを用いてユーザビリティテストがどの程度できるかを検証しました。 初見ユーザーのありがたみ(突然ですが、)プロダクト開発の現場では、初見ユーザーのフィードバックは極めて重要です。では、その初見ユーザーはどこにいるのでしょうか? 例えば、通勤時にたまたますれ違った人が(昨日完成した新機能の)初見ユーザーであることはほぼ間違いないでしょう。声をかけてみれば案外協力してもらえるかもしれ

AIの言葉、私の言葉––いま、生成する前に立ち止まる

はじめにこんにちは。メディア研究開発センターの浦川です。 この記事は、私にとって2024年最後の投稿記事になるでしょう。そこで、まずはこの一年を個人的に振り返るところから始めたいと思います。 今年は『AIは短歌をどう詠むか』の執筆に始まり、テキスト平易化データセット「SJNC」の研究発表および公開、短歌の生成および鑑賞に関する研究発表、『どう詠むか』刊行に伴う関連イベント登壇やメディア出演、水戸芸術館における作品展示への技術協力、さらにはSIGGRAPH ASIA TO

ChatGPTで2025年の流行語予想してみた~o1 proでやりゃええやん~

はじめに「流行語大賞のはずなのに、はじめて聞いたんだけど!」 12月2日の朝会は、先輩の嘆きで始まりました。 年末ですね、メディア研究開発センターの河﨑です。 12月1日に流行語大賞が発表されましたね。 詳しくは以下の記事でどうぞ。 個人的には、「不適切にもほどがある!」のドラマは(途中まで)見ていたので「ふてほど」はもちろん知っていたのですが、テレビを見ない最近の若者の皆さんは知らない方も多かったみたいですね。 私の先輩のように、「知らない!はやってない!」と思っ

AWS Lambda SnapStartを試してみた

こんにちは。メディア研究開発センターに所属する村瀬です。今回のノートでは、最近Pythonと.NETの実行環境でサポートされたAWS Lambda SnapStartについて試してみようと思います。お付き合いいただけますと幸いです。 Lambda SnapStartとはまず、Lambda SnapStartの説明をしないことにはこのnoteは始まりません。Lambda SnapStartとはLambdaのコールドスタートを改善するための機能です。これまでのLambdaでは、

メディアにおけるマルチモーダルAI技術の応用

こんにちは。朝日新聞社メディア研究開発センター(M研)の福沢です。 今回はマルチモーダルAI技術と、そのメディアにおける応用について、お話させて頂きます。 最近、ChatGPTの盛り上がりとともに、マルチモーダルAI技術にも大きな注目が集まっています。我々メディアにおいても、テキスト、写真、音声、映像などのさまざまな形式のデータの活用が一つの課題となっています。発信の仕方も、テキストや画像だけでなく、動画や音声、さらにインタラクティブな体験を求められるようになっており、

AIが作家の断片を辿って“幻視”する物語/水戸芸術館『田村友一郎 ATM』に寄せて

2024年11月2日より、茨城県水戸市の水戸芸術館 現代美術ギャラリーにて、現代美術作家である田村友一郎氏の大規模個展「ATM」が開幕した。 メディア研究開発センター(M研)は、ここで展示される新作《ATM》の制作に、技術協力として参加している。 この記事では、作品制作の経緯とその詳細について紹介するとともに、現在の大規模言語モデル研究から見た《ATM》の姿についても考察してみたい。 〈技術と文化の交差点〉としてのM研そもそも「新聞社のR&D組織が、なぜ現代美術への技

【作業に集中したいから】Notionマイタスクで複数プロジェクト管理&ドキュメント化

こんにちは。マルチタスクが苦手なのにプロジェクトを掛け持ちしすぎているM研の杉野です。 今年2024年にリリースされ、Notion愛好家?の間で賞賛されている「マイタスク」機能をご存知でしょうか?複数プロジェクトを皿回しする民にとって、これは救世主だと思うほど良い機能であると、今さら気づきました。今回はその「マイタスク」を使い、さらにその日のタスクに集中しやすくなるためのカスタマイズから、ドキュメント漏れやドキュメント迷子の悩みを解決する工夫までご紹介します。 プロジェクト

mackerelでオンプレサーバーの監視を強化してみたら幸せになった

いつもM研テックブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。朝日新聞社メディア研究開発センター(M研)の田森です。 さて、M研では研究用のGPU搭載サーバーをはじめとして、何台かのオンプレサーバーやNASが存在します。 結構台数があるので、それなりの管理が必要なのですが、中でも困っているのは 各ストレージはどれくらい使われているのか? GPUはどのサーバーででどのくらい動いているのか? がなかなか分かりづらい。これらの項目を含めて、サーバーの状況を包括的に監視

Pythonで扱う地理情報データ! 面と点の内外判定で土砂災害警戒区域の「盲点」を探る

こんにちは。朝日新聞社メディア研究開発センターの石井奏人です。 突然ですが、みなさんは土砂災害警戒区域についてご存知でしょうか。 土砂災害が起こる危険性のある箇所を、各都道府県が土砂災害防止法に基づき指定したものです。 では、どれほどの土砂災害が実際に警戒区域の中で起きているのでしょうか。 朝日新聞社では、土砂災害警戒区域と、2021年、2022年に起きた土砂災害の発生箇所を分析し、「警戒区域の外」で起きた土砂災害を探しました。 分析の結果は、朝日新聞・朝日新聞デジタル

LLMによる日本語タイポ修正ベンチマーク

こんにちは。メディア研究開発センター(通称M研)の田口です。 昨年6月末にこんな記事を書きました。このときはgpt-35-turbo、text-davinci-003を使っていて今読み返すと隔世の感ですね… 現在も要約関連のことをやっているのかというと、最近のメインの業務は「Typoless」という校正支援AIサービスの開発に従事しています。AI校正機能からその他解析API群の整備・運用まで幅広くやっています。Typolessについては昨年末にPdMがnoteを書いている

モノに関わる職業をLLMで分析!

今回やったこと ・Azure OpenAI Serviceのapiで、gpt-4oを使用  ・プロンプトの工夫(結果をpythonのリスト形式で出力したい)  ・画像認識 ・pythonで関係図を作る(ネットワークグラフ) はじめに後輩ができました、2年目の河﨑です。 夏になり、M研にも新入社員が配属されてきました。 朝日新聞社の技術職の新入社員は、4月に入社してから5ヶ月間の技術者研修を受けます(手厚い!)。 ネットワークの基礎に関する講義を受けたり、システム構築実習